栃木県宇都宮市にある歴史的な蔵を活用し、貸テナントとしての活用を見据えたリノベーションプロジェクトにおいて、当社は空調設備の施工を担当いたしました。
今回の現場は、もともと農機具や資材の保管に使われていた石造りの蔵。長年の時を経た重厚な石壁と木組み天井が残る、趣のある空間です。こうした歴史的建造物を活かしつつ、現代のテナントとして快適に利用できる空間に生まれ変わらせるには、空調計画が非常に重要なポイントとなります。
施工にあたっての最大の課題は、厚みのある石造りの壁と断熱性の乏しい構造。冬は冷え込みが厳しく、夏は熱がこもりやすいという蔵特有の性質をふまえ、空調機の選定と設置位置を慎重に検討しました。冷暖房効率を最大限に高めるため、壁面上部に設置する形でパワフルな業務用エアコンを５台設置。テナントとして使用することを想定し、室内のどの位置にいてもムラなく空調が行き届くよう吹き出し方向と風量調整も最適化しました。
また、内部空間のデザインにも配慮し、照明や音響設備とのバランスを取りながら、露出配管も内装の一部として見せる工夫を施しています。元の空間の味を活かしながら、現代的な快適性を備えた空間に仕上げました。
さらに、このリノベーションではテナント利用の目的に応じた環境づくりも大きなテーマでした。今回ご依頼いただいたオーナー様は、音楽スタジオやカルチャースクールなどの利用を想定しており、室内の温湿度管理は非常に重要です。そのため、空調機には湿度対策機能を備えたモデルを選定し、安定した空間環境を維持できるようにしました。
施工完了後、室内はまるでスタジオのような雰囲気に変わり、ドラムセットやスピーカーが並ぶ音楽テナントとしての準備も整いました。石造りの蔵という静寂な環境が、音楽や文化活動の場として新たな息吹を吹き込まれた瞬間でした。
歴史ある建物を、現代の用途に適した空間へと再生する。空調設備はその快適性を支えるインフラであり、建物の特性を理解した上での丁寧な施工が求められます。当社では、古民家や蔵といった特殊建築の空調設計・施工実績も豊富にございます。リノベーションや貸テナント化を検討中のオーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。最適な空調環境と、空間の魅力を活かす提案をご用意いたします。